「父ノ背中」中川ラン・ド・ラ・ヴァリエール(らんらん)インタビュー プロは多くの人を巻き込み、一緒に楽しむ
日本最大級のリーチを誇るプロゲーミングストリーマー集団「父ノ背中」。その前身であるチーム「HOME」に所属し、2017年にメンバー入りを果たしたのが中川ラン・ド・ラ・ヴァリエール(らんらん)さん。R6S Japan Pro Leagueで解説を務めるなど、幅広い活動を行う、彼がゲームに、そして動画にどんな思いを込めているのか話を聞いた。
プレイヤーとしてだけでなく、解説役としての出演も多い
――まずはプレイヤーネームの由来から教えてもらえますか。
らんらん:実はこのプレイヤーネーム、本名からきているんです。僕は“蔵人(くらんど)”というかなり珍しい名前で、このまま使ってもまずバレないだろうと思って、最初は「クーランド」というネームにして、そこから徐々に現在の名前へと変わっていきました。本名を言っても大抵偽名か、ハーフだと間違われますけど、一般的な日本人です(笑)。
――YouTubeなどでは、らんらんという名前も使っていますが、これはどういった経緯で誕生したのですか?
らんらん:以前はQooLAmDやらんどと、そのまま呼ばれることが多かったのですが、父ノ背中に入る前のHOME時代に、他のメンバーから「らんどだから”らんらん”だね」と軽く言われたのがきっかけでした。らんらんは確かに呼びやすいし親しみやすいし、僕自身も使っていたらそのまま定着しましたね。ネット用語のひとつに「らん豚」というのがあるじゃないですが。それの影響で、自分のキャラクターもいつの間にか豚になっていました。
――現在は『レインボーシックスシージ』をメインにプレイされていますが、それ以前はどんなゲームに触れてきましたか?
らんらん:子供のころまで遡ると、小学校低学年のときの『バイオハザード』が人生最初のゲームですかね。父がプレイしていて、それを半ば無理やり見させられて泣いたのがゲームとの出会いでした(笑)。そのあと、最初にはまったゲームだと『メタルギアソリッド』になりますね。これも最初は父が遊んでいたんですけど、結局僕のほうが先にクリアしました。それからは「メタルギアソリッド」が出るハードをどんどん買っていく感じでした。
” 楽しみながら強くなる “ことを重視している
――そこからどうやって『レインボーシックスシージ』に出会ったのでしょうか。
らんらん:大学時代に友人から「パソコンのゲームをやってみないか」と誘われたのがきっかけです。最初に遊んだのは『Crysis』というステルスメインのFPSで、マルチプレイで撃ち合いの楽しさを知りました。そこから今度は『バトルフィールド4』に移り1600時間くらいプレイして、最終的に『レインボーシックスシージ』まで行きつきました。
――初めてプレイしたときの感触はいかがでしたか。
らんらん:やっぱり難しいゲームなので、初めはボッコボコにされました。その結果心が折れたのか、一緒に遊んでいた友人は先にやめてしまいましたね。でも自分は負けず嫌いな性格なので「このゲームでも勝ちたい」と思うようになり、HOMEのメンバー募集に応募しました。最終的にリーダーのてるさんからお誘いがあって、父ノ背中に入ることになったんです。
――チームに入ったのは、強くなりたい気持ちがあったからこそなんですね。
らんらん:より正確に言うと、楽しみながら強くなりたいという思いでした。楽しむためには良い仲間が必要ですし、チームに入れば確実に出会えると思ったからです。
――『レインボーシックスシージ』と出会う以前は、プロに対してそこまでの思いはなかったのですか?
らんらん:そうですね。それこそ『バトルフィールド4』のときはワーワー騒ぎながら楽しんでるだけでした。友人がヘリコプターに乗っているときに撃ち落としたりとか、そんな遊びばかりしてました(笑)。
――『レインボーシックスシージ』では、どんな戦い方が好きですか?
らんらん:基本的に自分がやるのは、周りの情報から敵の位置を把握して、虚を突くような戦い方です。というのも、自分はマウスでのエイムがまだまだ苦手で、撃ち合いで負けるシーンも多いんです。どうやって勝つかを考えていく中で、この動きが染み付いたんです。
――ゲームをプレイする中で、印象的だったエピソードはありますか?
らんらん:『レインボーシックスシージ』でいうと、リスナーさんと一緒にプレイしているとき、リスナーさんが先に倒されてしまい、自分が残り1人になってから巻き返したときですね。体力も1桁まで削られている状況で撃ち勝って勝利をもぎ取ったとき、特に最後の1人をヘッドショットで倒したときは今でも覚えています。
――リスナーとプレイする機会も多いのですか?
らんらん:配信しているときは多いですね。PS4版から移行して、PCでプレイして間もない人とか、なかなか入りづらいと思うんですよ。そんな人でも気軽に楽しんでもらえたらと思って、積極的に楽しむようにしています。僕だって昔は初心者だったわけですし、やってみたら楽しいということを多くの人に伝えたいんです。
――ゲームが特に上手いと感じるメンバーは?
らんらん:カッキーさんはFPSの世界でも有名な人で、僕ももちろん尊敬しています。立ち回りもエイムも上手くて、一緒にプレイしているときも、自分が別の作業をしているときでもカッキーさんのプレイはチェックして、勉強するようにしています。
――父ノ背中で、特に仲の良いメンバーはいらっしゃいますか?
らんらん:個人的にはきんち君ですね。年齢が近いこともあるし、なにより好きなゲームの傾向が似ているんです。実は僕、子供のころに『リネージュ』を遊んでいたことがあって、きんち君もMMORPGはよく遊んでいたらしいんです。そういったところで話が合いましたし『レインボーシックスシージ』でもふざけた縛りプレイとかを一緒にやったり、なにかと馬が合うんです。
――他の方の動画を見る機会は多いのですか?
らんらん:カッキーさんに限らずプロリーグの動画なども見ています。観戦して、そういう戦略もあるのか、と自分の中に取り入れるのも好きなんです。また、人の動画からインスピレーションを得て、自分の配信に活かす機会もあります。編集が上手い動画を見ていると、盛り上げ方も僕とは全然違うんですよね。ただ上手いプレイを見せるだけでなく、見栄えを良くすることによって自分自身でニヤリとすることもあります(笑)。
リスナーさんとの思い出のプレイは今でも鮮明に覚えている
――1日のタイムスケジュール感についても教えてください。普段はどういった時間に練習しているのでしょう。
らんらん:一番ゲームをしていることが多いのは、俗にいうゴールデンタイムですね。終わるのは不定期で、朝まで続けることもあります。きんち君とバカな企画をやるときも、時間を忘れてしまいますね。
――練習のときは、具体的な目標を定めるのですか?
らんらん:チーム練習のときは、個人というよりチーム全体で決めごとを作って練習しますね。個人練習のときはテロハントをプレイする時間を毎回取るようにしています。あとはリスナーと一緒にプレイするときも、楽しみつつも個人の動きに関する反省点を見つけ出すように心がけています。
――普段の食生活はいかがですか?
らんらん:今彼女と同棲生活をしていまして、食事を作ってもらうことが多いですね。ただ、2人共ずぼらな性格なので、袋麺で済ますことも結構あります。もともと生まれが福岡ということもあって、Amazonでうまかっちゃんをたくさん買ってあるんです。
――九州の血というか、地元の味が恋しくなることもあるんですね。
らんらん:ありますね。以前福岡にイベントの仕事で行ったときは長浜ラーメンを食べ、夜には焼き鳥屋さんで豚バラ串もたらふく食べてまた東京に戻ってきました(笑)
――ゲーム以外の趣味だとなにかありますか?
らんらん:趣味ですと散歩と読書、あとはバイクですね。バイクはホンダの400Xに乗っていて、度々ツーリングに出かけています。あとは出かけなきゃいけないときは、いろいろな街を散策しながら歩くのが好きなんです。それと読書ですけど、小学校のときに読んだ「アーサー王とあった男」という小説に衝撃を受けて以来、よりたくさんの本を読むようになりました。
――ストリーマーとしての一面もありますが、動画を配信する上でのこだわりはありますか?
らんらん:なんにしても楽しさですかね。負け続けて落ち込んでいるシーンとかはリスナーさんも望んでいないですし、そこは絶対に使いません。まずは僕自信が楽しんでいる姿を見せるように考えています。
――動画を見ていると、内容だけでなくサムネイルにもこだわっている印象を受けます。
らんらん:もともと自分の顔を使うこともあったんですけど、実は結構嫌だったんですよ。でも何気なくふざけて撮った写真がファンに受けて、それをサムネにしたら評判も良かったんです。それでてるさんから「顔を使っていけ」と指令が出ました(笑)。今では自分自信、コラ画像を作るのを楽しんでいます。
――『レインボーシックスシージ』を中心としつつも、『Undertale』など一風変わったゲームの配信もしていますよね。
らんらん:自分が触ってみたいと思ったゲームは実際にプレイしたり、配信したりはありますね。その中でも面白いと感じたら、できるだけ動画として残して、多くの人に見てもらいたい気持ちです。今後も気になったゲームはどんどん配信していきたいです。
――ファンとのコミュニケーションという点で気をつけている点は?
らんらん:Twitterなどで質問が来たら、極力答えるようにしています。ゲームに対する姿勢や見方は人によってさまざまですし、人の考えに触れることで気付けることも多いです。僕も皆さんから得るものがありますし、逆に僕も皆さんになにかを残せるようなコミュニケーションを取っていきたいと思います。
――らんらんさんにとって、プロとアマの違いはどこにあると思いますか?
らんらん:アマは基本的に1人で楽しむもので、プロは多くの人を巻き込んで一緒に楽しむものだと思います。自分自身が楽しんでいる姿を見て、他の人にも楽しんでもらう、これができるのがプロの大きな特徴ですね。でも、プロだからといってゲームを楽しめなければ意味がないのはアマと同じです。初心を忘れず、これからも楽しんでいきたいです。
――最後に、今後の目標を教えてください。
らんらん:直近の目標だと、YouTubeの登録者数がまだまだ少なく、他メンバーの知名度のおかげで増えているのが現状です。これからは他のメンバーと同じレベルに追いついて、自分自身のリーチを伸ばしていきたいです。将来的には追いつくだけでなく、追い抜いてチームを引っ張っていけるような存在になりたいですね。
プロは多くの人を巻き込んで一緒に楽しむことが大切!
らんらんさんとのインタビューでは、とても物腰が柔らかく、取材中も常に笑顔を見せているのが印象的だった。また、視聴者を常に楽しませようとする姿勢も、熱い支持を得る理由のひとつだろう。「チームを引っ張っていけるような存在になりたい」と語っていたが、そんな未来も決して遠くはないはずだ。