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「父ノ背中」カッキーインタビュー また父ノ背中が最強と呼ばれるために

日本最大級のリーチを誇るプロゲーミングストリーマー集団「父ノ背中」。実力者揃いのチームの中でも、圧倒的な戦績と存在感で牽引するのがカッキーさんだ。彼がどのような道を歩んで現在の地位にたどり着いたのか、そして父ノ背中に対する思いを聞いた。



カッキーというプレイヤーネームの名付け親はリーダーのてるしゃん


――カッキーというプレイヤーネームの由来について教えてください。
カッキー:元々違う名前でやっていたんですけど、今の名前に変えたんですよ。これまでもたくさんの大会に出て優勝もしてきましたけど、全部、いろいろ問題がある名前だったので、さすがにまずいでしょと(笑)。それでいろいろと検討して、リーダーのてるさんから「これにしてくれ」と言われたのがカッキーだったんです。

――現在メインでプレイされている『レインボーシックスシージ』とは、どのようなきっかけで出会ったのですか?
カッキー:最初は『スマイト』というTPSを友達と遊んでいて、その当時は『レインボーシックスシージ』は名前を知っている程度でした。友達に「こんなゲームが出るらしいよ」と軽い気持ちで『シージ』を紹介したら、その人が先にハマってしまって。その友達というのが、かつて『スペシャルフォース』の大会で優勝したことがある実力者でして、流れるように俺もプレイを始めたのです。

 

――『シージ』をプレイしたときの第一印象はいかがでしたか?
カッキー:難しかったですね。撃ち合い自体は弾も当たりやすいし、ヘッドショットなら一撃で終わるから簡単なのですが、操作が小洒落ているというか、伏せの状態とかADSとか、いろんなアクションがあるので戸惑いましたね。

――どのように腕前を上げていこうと考えたのですか?
カッキー:これは俺の持論なんですけど、上手い人はゲームを長くプレイしているはずなんです。才能はもちろん大事ですけど、やればやるだけ上手くなるのも間違いないです。だから具体的なプランを立てたというより、とにかく場数を踏むことを重視しました。がむしゃらに、まずは慣れることから始めました。



どんなプレイスタイルでも対応するオールラウンダー


――得意な戦略などは?
カッキー:攻撃的なスタイルが好きなんですけど、どれに特化して上手いとかはないと思っています。基本的になんでも卒なくできる、オールラウンダーですね。

――『スマイト』をプレイされていたというお話がありましたが、それ以前はどんなゲームで育ってきましたか?
カッキー:最初にやったFPSは、Nintendo64の『ゴールデンアイ』です。ただそれ以外となると、子供のころは外で遊ぶのが好きだったのであまりゲームはやってこなかったですね。その後本格的にプレイしたのが『スペシャルフォース』で、『サドンアタック』も相当長くプレイしました。

――さまざまなFPSをプレイされているようですが、ゲームにはどんなものを求めますか?
カッキー:カジュアルなゲームが結構好きで、やり込みの豊富さよりも動かしたときの気持ち良さが大切ですね。ヘッドショット一発で倒せたり、移動が早かったりといったところです。

――父ノ背中に入った理由についても教えてください。
カッキー:そもそものきっかけはJCGさんが開いた『シージ』の大会です。1年目は自分が所属しているチームが1位だったんですけど、2年目になるとメンバー変更もあり、優勝できなかったんです。そして当時のメンバーがさらに抜け、自分1人がフリーになったときに父ノ背中から声をかけてもらったのが始まりです。

――加入前と加入後で変わったことはありますか?
カッキー:加入前後ではありませんけど、プロになる前と後ではありますよ。俺がプロになったときはけんき達がYouTubeで有名になり始めたときでもあって、俺自身の知名度も一気に伸びました。人気が確立したのは、今振り返るとプロになったタイミングが契機だったんだと思います。

――特にゲームが上手いと思うメンバーはいますか?
カッキー:誰か1人を選ぶまでもなく、俺は全員上手いと思ってます。ただ、ちょっと精神論の話になってきますけど、「俺はほかの誰よりも上手い」と思ってないと、本当に強くはなれないんですよ。だから全員上手いことは認めつつも、俺より上手いやつはいないです。

――同じチームであっても、どこかにライバル心があるというか。
カッキー:それはやっぱり、誰にでもある気持ちだと思いますよ。基本的にみんな負けず嫌いだし、プレイヤーとしてほかの人より上手くありたいのは当然のことです。

 

――ほかのメンバーからは、カッキーさんがもっとも上手いとおっしゃる方が多かったです。
カッキー:単純にプレイ時間が長いから、印象に残っているだけというのもあると思います(笑)。自分的には負けたくない気持ちが強いですけど、親心として、今まで以上に強くなってほしい思いも持っていますよ。

――らむさんはプロゲーマーになった理由として「カッキーさんに誘われた」と話していました。
カッキー:俺は基本的に閉鎖的な性格というか、例え仲が良くてもつるむことは少ないタイプなんです。それなのにらむ君とは一緒にプレイする機会も多くて、腕前もかなりのものがあったので誘いました。

――普段の練習方法としては、どんな内容がメインになるのですか?
カッキー:学生や社会人でチームが構成されているので、基本的には夜の9時から12時を練習時間に当てて、その後反省会も行います。やっていること自体は、多分ほかのチームとあまり変わらないと思います。むしろ時間だけで見たら、ほかのチームより全然短いと思います。

――1日の食生活や、健康に気を使っていることは?
カッキー:見てのとおり太っているんで、最近はダイエットしてます。普段は力を使う仕事をしているんで、肉は食いたいということで糖質カットダイエットですね。

――ゲーム以外に趣味や特技はありますか?
カッキー:カードマジックがちょっとできるくらいですかね。中学のとき、数学の先生が授業中にマジックを見せてくれて、それに感動してやり始めたのがきっかけですね。



大会出場に向けて、コンディションをリラックスして整えている


――大会に出場するときは、どう感情をコントロールしていますか?
カッキー:ほどよい緊張感を持っているのがベストな状態だと思います。無心になるというよりは、多少大会のことを意識して気持ちを高ぶらせています。普段の練習でもなるべく緊張感を持ってプレイするように心がけていて、課題を見つけたらそれに対して緊張感を持って取り組むことが重要ですね。一方で、大会前はリラックスすることも考えています。風呂に入ったりで気分をリフレッシュさせるのは意識的にしていることです。

――ライバルと思えるチームはいますか?
カッキー:1、2年前は父ノ背中も相当強くて、どの大会でもそれなりに勝てていたんですけど、今はそんなこともなく、ほかのチームのレベルが急速に上がっていると感じます。うちなんかより勝っているチームはたくさんいますし、どこか1つを挙げるのは難しいですね。

――大会の状況も、刻一刻と変わっているのですか?
カッキー:変わっていますし、全体的なレベルも底上げされています。今強いチームの子たちって、俺たちが強かったときに挑戦者として頑張っていたんです。やっぱり頂点にいるときより挑戦者のときのほうが上達も早いですし、挑戦者の気持ちは絶対に忘れちゃいけないですね。

――日本と海外でプレイスタイルに違いは?
カッキー:それももちろんあります。日本のプレイヤーが当たり前と思っている戦略が海外ではまったく通じなかったり、逆に海外のトレンドを俺たちが真似てもなかなか慣れなかったりします。しかし根本的なところでは日本と海外とで、プレイスタイルに決定的な違いはないと見ています。『シージ』は運要素も強いゲームで、撃ち合いが強いチームが勝つこともよくあります。最近はどのチームも研究熱心だし、日本のチームが海外の足元をすくうくらいの感覚を持っています。

――ゲーム内のトレンドというのも、日々変わっていると聞きます。
カッキー:めちゃくちゃ強いオペレーターが急に出てきたり、武器がいきなり強くなったりといった調整がよく入るんですよ。トレンドもそれに合わせて変わっていくイメージですね。ゲームの世界には2種類の人間がいて、自分自身でトレンドを作っていく、例えば「このオペレーターはこうやって使うのが強いぞ」と発信する人と、それに対抗するために戦術を考える人です。当然後者のほうが圧倒的に多くて、俺も今はそっち寄りですね。

――プロゲーマーの世界にも監督という役職が就くケースも目立ち始めましたが、父ノ背中では監督を据える考えはありますか?
カッキー:まったくないです。監督として指示を出すということは、少なくとも俺たちと同じレベルに達していないとダメじゃないですか。そんな人を探すのも一苦労だと思うし、そもそもコーチや監督を名乗っている人より、俺のほうが戦術を知ってますよ(笑)。

――多くのファンがいると思いますが、コミュニケーションで気をつけている点は?
カッキー:距離を置きすぎないようにとは思っています。だけどそれ以外は特にこだわりとかもないですし、配信でも好き放題やってます。ほかの人と違ってルールとかも決めず、とにかく自由にやっていきたいんです。

――プロとアマで違いを感じることはありますか?
カッキー:勝利を求められることですかね。プロになった以上勝たなきゃいけないんですけど、最近はあまり勝ててなくて。そこはちょっと、勝ってからあらためて格好いいこと言おうかと思います(笑)。それともう一つ、楽しませることもプロの仕事だと思うんです。例えばプロ野球で、打ってほしいときに打ってくれるみたいな、そういうプレイができることも大切です。

――将来の夢や目標を教えてください。
カッキー:直近の大会で頑張って成績を残して、また父ノ背中が最強と呼ばれるような存在にしたいです。将来の夢となると…あまりないですね。とにかく目の前の勝負に、ひとつひとつぶつかっていくだけです。



父ノ背中にとって最も重要な、強さの部分を担っていく


数々の大会で名を馳せている人物だけあって、大会にかける意気込み、勝負への哲学は一線を画するものがあった。父ノ背中でも尊敬の念で見られる存在であり、これからも中心人物として活躍していくだろう。

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